#C003 鉄弦さん現る | クラシックギターの交差点

#C003 鉄弦さん現る

ここはとあるカルチャーセンターのクラシックギター教室。

ある新人さんがやってきた時のこと。
この新人さんは年は50歳位の方、声がバリトンで中堅のサラリーマンって感じです。
先生がその方のギターを見て言いました。
「弦、自分で張ったの」
新人の生徒さん
「ええ、自分で楽器屋で弦を購入して・・・」

そのクラシックギターには、なんとスチール弦が張られていたのです。

ネックがー・・・
ブリッジがー・・・
表面板がー・・・・

他人のギターながらギターを心配したのは先生だけではなく僕も一緒でした。
その時、その生徒さんを鉄弦さんと呼ぶことにした。

先生はその鉄弦さんのギターの弦をナイロン弦に張り替えてあげた。
そしてあるカリキュラムを与えた。

それはハ長調のスケールであった。
そして鉄弦さんは終わるまでハ長調のスケールを弾きつづけていたのである。

つづく