クラシックギターの交差点 -120ページ目

#三辻 悪魔との契約

あれた石ころだらけの舗装されないてない道。
そこに容赦なく太陽が照りつける。
風ひとつ吹かないここはロビンソンヴィルの東15マイルにある
クラインプランテーションのとある四辻交差点。

今日もそこに一人のおとこが立っている。
ヒッチハイクでもしようとしているのか。
おとこはぶつくさ文句をいっている。
「ウィリーブラウンの腕は超えちまったからもうようなしだ」
「それにサンハウスのおやじから盗めるのは全部盗んじまったしな」
この交差点からやがてハイウェイへつづく。
おとこは前方をみつめそこに想いを馳せているのか。

そこにレグバがやってきておとこに言った。
「俺と契約する気があるか?」
レグバは不適な笑みを浮かべている。
「おまえは誰だ?」
「俺は悪魔との交渉人さ、俺さまみたいなスーツがほしいか?」
おとこは目を輝かせて言った。
「ギターがうまくなりたんだ」
「ハハハ、なんだそんなことか、ほれ契約書だ」

その契約書にはこう書いてあった。

悪魔はおまえにすばらしい耳をあたえるだろう
悪魔はおまえに鋭い感性をあたえるだろう
悪魔はおまえに女のくどきかたの方法をあたえるだろう
そしておまえはつぎのことを悪魔と約束せねばならぬ。
出された酒は拒んではならない。

おとこ「なーんだ・・・そんなことでいいのか!」
男は小躍りした。
レクバの姿はすでになかった。

とあるジュークジョイント。
おとこはそのステージて悪魔レベルの演奏をした。
客は唖然とその男をみつめる。
「なんてすごいんだ」
演奏を終えたおとこに主人がウイスキーをすすめた。
おとこはこの主人のかみさんと関係をもっていた。
友人のウィリーが言った。。
「ロバートこの酒は毒入りだから飲むな!」

おとこがウイスキーを口にしたのはいうまでもない。

そのときおとこの影は悪魔に変わりニヤッと笑っていた。

四辻につづく

#二辻 映画「クロスロード」

この映画「クロスロード」は1986年の作品ですが最近DVDがあることを知りました。
アメリカでの発売ですがリージョンフリー、日本語訳付きです。
監督は「ストリート・オブ・ファイヤー」のウォルター・ヒル
音楽はライ・クーダーが担当。

ロバートジョンソンが音源として残していない幻の曲を求めミシシッピ―へ。
老ブルースマン、ウイリーと共に。


主人公ユージン(ラルフ・マッチオ)はジュリアード音楽院の生徒。
クラシックギター科の優秀な生徒ではあるのだか、
ブルーズに心奪われモーツァルトのトルコ行進曲の最後がブルースになる始末。
先生「いい演奏だか最後が」
2つの神様に従うことはできない。もっと敬意を持てといわれる。
うー耳が痛い。

ロバートジョンソンが演奏力と引き換えに悪魔と契約した伝説は前にも紹介したがここでは老ブルースマン、ウイリーも悪魔と契約していたんだな。
ウイリーは毎夜悪夢にうなされる日々、契約を破棄したいとクロスロードに立つ。

連戦連勝のジャックバトラー(スティーブ・ヴァイ)に勝てば契約は破棄ということだが。
ウイリーはハーピスト(ハーモニカ)
ジャック・バトラーはギタリスト。
かわりにユージンがギターバトルすることに。

しかしスティーブ・ヴァイはぶっ飛んでいる。
こんな奴に勝てるギタリストがいるんだろうか。
あの目に睨まれたらびびるよー。

結末はあなた自身で。
これ以上なにも言えません。

この映画、テレキャスターの音が絶品。
弾いているのはライ・クーター、でもラルフ・マッチオ君、本当に弾いてるようにみえる。

三辻へつづく

#C007 アルハンブラ―さんの我が道

ここはとあるカルチャーセンターのクラシックギター教室。

ある生徒さんがアルハンブラ宮殿の思い出を弾いています。
歳の頃、60歳位の方です。
なかなか思うようにトレモロができず苦戦しています。

アルハンブラ宮殿の思い出といえばクラシックギターを弾く人は知らない人はいません。
僕はこの曲を独学でやっていたのですが、あまりのひどさに習いにいこうと思わされた曲なのです。
これを弾けるようになるのが僕の1つの課題であり目標でもあります。

さてある日、先生が今日は練習はやめて演奏発表会をやろうと言ったのです。
生徒は僕を含めて青ざめています。
あちゃーやばいなー何弾こうか?
もうドギマギしはじめました。

1番バッターは古賀メロディー。
カルリのエチュード。
演奏後、ちゅくしょーを連発しています。
なにもそうきばらなくても。(^_^;)
でもやはり楽しい人です。

2番、アルハンブラ宮殿の思い出をよく弾く方。
なんとアルハンブラ宮殿の思い出を弾き始めました。
なんと無謀な。
その時からこの生徒さんをアルハンブラーさんと呼ぶことにした。

案の定トレモロはスムーズにいかず、アルハンブラ宮殿の思い出を知っている人がかろうじてこれがその曲だとわかるレベル。
別に馬鹿にしているつもりはありません。
いや逆にその勇気はすごいとおもいます。
僕には人前でこの曲を弾く勇気がないのだから。
でもいたたまれない空気がながれていたことは否めません。
この時思いました。
自分のレベルにあった選曲は必要だと。

暮れの発表会の1ヶ月前、発表会で弾く曲を先生が尋ねています。
アルハンブラーさんはアルハンブラ宮殿の思い出と答えました。
先生はそれは来年ということで前回弾いたサビオのわが道にしなさいと説得しました。

暮れの発表会でのアルハンブラーさんのわが道の演奏は
アルハンブラ宮殿の思い出の100倍よかった。

今日もカルチャーセンターではアルハンブラーさんのトレモロが聞こえます。
2005年の発表会にむけて。

つづく

#T003 喧騒の中から聞こえた自分の音

さてカルチャーセンターのギター教室は複数の生徒が同じ部屋で
ギターを弾くので音が混じりあいます。
アルハンブラ宮殿のトレモロ
ロマンス(禁じられた遊び)の3連
神田川のアルペジオ
古賀メロディーなどなど。
僕はソルのエチュード。
なんとこれに先生の演奏が・・・
先生もよく弾くんです。僕らに混じって。

丁度僕との距離は3メートルくらい。
ギターの名曲達が僕にせまってきます。
プロの音を聞くとやる気が出るときもありますが
だいたいは敗北感みたいな感じで自分の音の貧弱さにやる気がうせます。

歴然たる音の違い。

音量、音色、スピード感、躍動感、バランス。
なに今の音?
どうやって弾いたの?
みたいな。

その喧騒の中で自分の弾くギターの音に集中し耳をすました時
聞こえたのです。
自分の音だけが。
周りの音が消えました。
その時、音を聞く大切さを知りました。
集中した時の音はあきらかに違うことも知りました。

この集中はいつでもできるわけではないけれど
これを知った自分はなにか大切なものを得た嬉しさで一杯でした。

ギターを弾くうえでのテーマに、集中力が加わりました。

#一辻 今日も奴はやってくる・・・クロスロードに

I went down to the crossroad
  fell down on my knees

キングオブデルタブルース、ロバートジョンソンのCross Road Bluesの冒頭の節。
ひとかけらの演奏力を求めて単調な生活から逃れようとやってくる場所

クロスロード

まあ本当に悪魔と契約を交わしたかはどうかはわかりませんが
急激に人が変わって、短期間に驚異的なギターテクニックを身につけたのを見て当時のブルースマン達はこのクロスロード伝説を信じたらしい。

しかしこの曲を聴いたら悪魔と契約した男にしかできないと思うよ。
ギターなんて2人でやってるんじゃないの。
なんていう間の取り方なんだ?
スライド担当は僕で、君はリフを担当して。
このノリで唄は君が歌ってね。
だってこのギターのノリでこの節回しの唄を一人でできるの?
それじゃ3人必要になってしまうぞ。

ギターの神様、エリッククラプトンでさえジョンソンのあの悪魔レベルには達してないもの。
でも、クリームのクロスロードは大好きでよく聞きます。
クロスロードでのエリッククラプトンのギターソロは最高です。
かみがかっているようにも思える。
みんなコピーしてるもんね。
ヨッチャンもチャーも。

あの最後のMCなんて言ってるのかな?

僕には
「エリッククラプトン プリーズ」
「ボーボ」
って聞こえるんですが。

誰か教えて


#C006 復活の古賀メロディー

ここはとあるカルチャーセンターのクラシックギター教室。
レッスン開始前、ある方が歌を唄ってます。
   ・
   ・
   ・
クラシックギター練習の日、僕はカルチャーセンターへ向かう。
ここのエレベータは閉まるのが早くて素早く降りないとはさまれてしまう。
今までで二度やられた。
二回ともギターケースがゴンって。
ソフトケースだったらやばい。もちろんハードケースです。
実は僕のギターはヤ○ーオークションで7,500円で落札したギターだからなんかあった場合でもまあいいかーだけど、
アルハンブラーさん(後日紹介します)のギターはドイツ製で80万円。
先生のギターは、これもドイツ製でハウザー二世、なんと300万円。
ほかの生徒もかなり高価なギターをもってきています。

本題に戻って。
教室のドアをあけるとある生徒さんがギターを弾きながら唄を歌っています。
50歳代くらいの方です。
その歌とは”影を慕いて”(古賀政夫作曲)
その時からこの生徒さんを古賀メロディーと呼ぶことにした。

古賀メロディーと先生とのレッスンが始まった。
今日はカルリのエチュードをやっている。
先生「合格しようとして無難に弾いてなーいー?」
古賀メロディー「ばれました?」
古賀メロディーはガハハと豪快に笑っている。
楽しい人だ。

ある日のこと。
レッスン中に古賀メロディーが
「先生なんか身体の調子が悪いから帰るね」
と首を傾げながら教室を出ていった。
どうしたんだろう?

後日先生に聞いたら古賀メロディーは脳梗塞で入院しているそうです。
でも早めに病院にいったので軽くてすんだそうです。

それからすこしして退院。
すこし右手にマヒがあってのだけどギターを弾きつづけ
暮れの発表会ではカルリのエチュードを演奏しました。
無難にではなく見事に。

二次会の席では酒は控えてるそうでウーロン茶を飲みながら
ギターが弾ける喜びを語ってました。
豪快にガハハっと笑いながら。

つづく

#T002 フォーム

クラシックギターをはじめた時、
まずとまどったのが足台を使ってのフォーム作りだった。
長年ギターを弾いてきたのだが足台を使うのは今回がはじめてだった。
最初の数日は腰痛を起こしてしまった。
なんだこんなもんって蹴っ飛ばそうかなーと思ったり。(^_^;)
なんとかフォームも安定してきた時、先生にある欠陥を指摘された。
「君は右肩に力が入っている、それだと右手がスムーズに動かないよ」
この時右手、左手の脱力について説明を受けた。
身体は地に根をおろした柳の木の如く、腕は枝の如く風に揺らいで。
その状態でギターを構える。
イメージは柳の木の如く。
この時余分な力が肩に入っていないか。
弦を弾く(はじく)ときもこのイメージを持ちつつ。

それでどうなったかというとあまりに右肩に意識がいきすぎて
首を右に回すと右肩に痛みがはしるようになってしまった。
だましだましやりながらもこの癖は直らなかった。

ある時ホームページを見ているとギターの構え方についての記事があった。
これはカルレバーロ奏法のギターの構え方だった。

”ギター表面板を上方へ向かせることによって弦がより右手に近づいてくれるので肩や手首を突きだす必要がなる。”

これをやれば余分な力が肩に入らないのでは。
さっそくやってみた。
完璧ではないがこのフォームで大分改善された。
これからの課題は右手、左手の脱力のコントロールです。

多分これはゴルフとか他のスポーツでも一緒で
フォームについてはこれからも日々研鑚ですね。

#C005 嵐の前のアンコール

ここはとあるカルチャーセンターのクラシックギター教室。

台風シーズン到来。
そんななか先生のリサイタルが開催されることとなった。
コンサートの当日、なんと台風接近。
その日の夜には上陸という。
開催関係者に電話してみたところコンサートは決行しますとのこと。
夕方、会場へ向かう。
夜に上陸というのに風雨はそれほどでもない。
台風接近のためお客さんの入りが心配されたが市民会館はほぼ満員。

コンサートが開始された。
ギターの音が会場内に響く。
中盤はゲストの演奏。
ソロギターとマンドリンアンサンブル。
休憩時間をはさんで先生の演奏。
プログラムは全て終わり、花束贈呈で幕を閉じた。

一斉にお客さんは席を立った。
台風接近中だからみんな早く帰りたいのだ。

その時、先生がステージへギターをもって出てきたのである。

「みなさーん、お急ぎの中すいません。もう一曲やります」

会場からわっと笑いともいえない声がした。
それは親しみのこもったものだった。

僕はその時、先生のファンになった。

嵐の前のアンコール曲はエストレリータ。
台風接近中に聞いたエストレリータはマイフェイバリットとなった。

#C004 神田川さんは女子大生

ここはとあるカルチャーセンターのクラシックギター教室。
今日も老若男女、黙々とギターを弾いてます。

途中長時間、特にマイナーのエチュードを弾いていると
息抜きにブルースやジャズを弾いたりします。
なんかあまりにも優等生すぎる音に無性に反抗したくなる自分がいます。
まあ、こんなこともたまには必要とおもって大目にみてあげます。
自分に対して。(^_^;)
まあ、クラシック一筋には完璧になってないってことなのね。

さて、そんな教室で決まって自分の後ろである曲を弾いている女の子がいます。
"あなたはもう忘れたかしら~赤いてぬぐいマフラーにして"

かぐや姫の神田川。

その時から彼女のことは神田川さんって呼んでいます。

かぼそいアルベジオで聞こえるか聞こえないような音で。
途中、
"若かったあの頃~何も怖くなかった"
からストロークになります。
ダウンのみの。
これがまた哀愁を誘います。
神田川さんはこの曲を3ヶ月位やっていたのかな。

ギターは忍耐です。
いや楽器は忍耐です。
いや人生は忍耐です。

神田川さんは大学に通っているそうです。
途中、別の時間帯のクラスに神田川さんは移ってしまい
僕の後ろの席は空席になりました。

神田川さんに再度会ったのは暮れの発表会でした。
多分5ヶ月ぶり位でしょう。

神田川さんの演奏は発表会の中盤でした。
神田川さんはソロギターでアニー・ローリーをしっかり奏でています。

発表会の2次会の席で僕は彼女に握手を求めて言いました。
「がんばったんだね!」
神田川さんは照れながらにっこり笑って握手してくれた。

つづく

#T001 スケール考

何かスケールを弾いてみて?
と言われてやはりハ長調のスケールを弾くだろう。
今の僕は。

あなたは?

ギター弾かない?

あ、すいません。

ギターを初めて弾く人にはやはりポジションを知ってもらうためにハ長調のスケールを教えるだろう。
そう、鉄弦さんもそうやって先生から指導を受けていた。
これは開放弦を含む1オクターブのものです。
僕が初日に教室で延々弾き続けていたのは、セゴビアの24の音階練習の1番です。
これは5弦3フレットから始まって2オクターブを上昇下降します。開放弦は使いません。
この1番ができるということは、24のうちのC,C♯,D,E♭,E,Fのスケールが出来たということです。
僕はこの音階練習のうちハ長調とイ短調しかやっていません。
これ以上やる意味がいまのところないのと、24もの音階練習をやっている暇がないということです。

ちなみにエリック・クラプトソさん、スケールなんか弾いて下さい。
スモップ大好きなクラプトソさん、マイナーペンタトニック一発でした。

ビンビン・キングさん、お願いします。
さすがです。スケールなんて弾きません。
1音をチョーキングビブラートで決めてしまいました。
そこらへんの早弾き小僧は逃げていってしまいます。